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  • 2017.07.24

(記事紹介)早期がん発見と血液検査

2017年7月24日 読売新聞「血液1滴、がん13種早期発見…3年めど事業化」

国立がん研究センター(東京都)などは、血液1滴で乳がんなど13種類のがんを早期発見する新しい検査法を開発し、来月から臨床研究を始める。同センターの研究倫理審査委員会が今月中旬、実施を許可した。早ければ3年以内に国に事業化の申請を行う。一度に複数の種類のがんを早期発見できる検査法はこれまでなく、人間ドックなどに導入されれば、がんによる死亡を減らせる可能性がある。
検査法では、細胞から血液中に分泌される、遺伝子の働きを調節する微小物質「マイクロRNA」を活用する。がん細胞と正常な細胞ではマイクロRNAの種類が異なり、一定期間分解されない。同センターや検査技術を持つ東レなどは、がん患者ら約4万人の保存血液から、乳房や肺、胃、大腸、食道、肝臓、膵臓(すいぞう)など13種類のがんで、それぞれ固有のマイクロRNAを特定した。血液1滴で、がんの「病期(ステージ)」が比較的早い「1期」を含め、すべてのがんで95%以上の確率で診断できた。乳がんは97%だった。


がんの治療で最も大切なことは「手遅れになる前に発見すること(早期発見)」です。そのために多くの人間ドックでは内視鏡検査やCT、超音波検査など様々な検査が行われますが、身体的・時間的な負担が少なくないため、より簡便かつ正確に診断できる検査手法が求められてきました。
それに対し、現在利用できる採血検査である腫瘍マーカー検査は、簡便に調べられる一方でPSA(前立腺がんのマーカー)を除くと診断率が低く、見逃しや別の原因による異常高値が多い点が問題となっています。今回発表された手法が実用化すれば、手遅れのがんで亡くなる方を大きく減らすことができる可能性があります。
しかし、今回のニュースだけでこの手法の有用性を判断するのは早計です。がんの早期発見のための検査として用いるためには、「小さながんでも正確に見つけられること(高感度)」に加えて「がんでない場合に異常値が出ないこと(高特異度)」も重要です。感度が高くても特異度が低ければ、本当はがんを持っていない人でも異常値が出てしまい、不要な不安を与えるだけの検査になりかねません。どの程度活用できる検査手法になるのか、今後の臨床研究結果に期待したいと思います。

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