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  • 2018.01.15

(記事紹介)飲酒とがんのリスク

2018年1月15日 日本経済新聞「お酒はがんの危険高める 飲み過ぎに注意と米学会 」

米臨床腫瘍学会のがん予防委員会は14日までに「飲酒はがんの危険性を高める可能性がある」として、アルコールを飲み過ぎないよう注意を呼び掛ける声明を発表した。飲酒とがんとの関係は、国際がん研究機関(IARC)をはじめ国内外の多くの研究機関から報告されているが、同学会が飲酒の危険性を公式に認め、対策に乗り出すのは初めてという。
声明によると、過剰な飲酒は喉頭、食道、肝細胞、結腸などのがんの原因になり得るほか、女性の乳がんに関しては、適量の飲酒であっても、わずかに危険性を高めるとの研究報告がある。世界で新たにがん患者となる人の5.5%、がんによる死亡者の5.8%は飲酒が原因と考えられるという。米国立衛生研究所(NIH)などは、アルコール5%のビール1缶(約340ミリリットル)を2時間以内に男性なら5本、女性なら4本飲むことを「深酒」とし、1カ月間に5日以上、そのような飲み方をした場合に「過剰な飲酒」としている。
最新の英国での研究によると、特定の条件下ではマウスの体内でアルコールの成分により、血液のもととなる細胞のDNAが破壊されることが確認された。欧米の研究者は「飲酒ががんを発症させる仕組みが明らかになりつつある」としている。


アルコールの健康被害としては肝機能障害や急性アルコール中毒、アルコール依存症などが有名ですが、近年がんとの関係が注目されています。例えば前回のコラムでご紹介したJPHCコホート研究でも、日本酒換算で1日3合以上の多量飲酒により、がんや脳卒中のリスクが1.6倍に増加することが明らかになっています。

一方で、飲酒により(アルコールが直接粘膜に触れる)口腔がんや食道がんだけではなく乳がんや大腸がんが増加する理由は十分に解明されていませんでしたが、最新の研究で「アセトアルデヒド」という物質が問題であることが分かってきました。アセトアルデヒドはアルコールが体内で分解・無害化される過程で生成される物質で、これが細胞のDNAを障害して発がん性を高めることが明らかになったのです。もともとお酒を飲んで赤くなりやすい人の方が健康リスクが高いことが知られていましたが、これも赤型体質の人はアセトアルデヒドを分解する力が弱いことと関係していると言われています。

また今回の声明は、『ビール340mlを2時間以内に男性なら5本、女性なら4本飲むことを「深酒」とし、1カ月間に5日以上、そのような飲み方をした場合に「過剰な飲酒」としている』点もポイントです。日本では毎日ビール大瓶1本(633ml、エタノール換算で23グラム)までは適度な分量とされてきましたが、飲み方によっては更に少ない量でも健康に悪影響が出る可能性が指摘されています。深酒はがんだけではなく急性アルコール中毒やアルコール依存の問題にもつながります。「飲酒により心筋梗塞のリスクが下がる」といった良い影響を指摘する研究もありますが、お酒は節度を持って楽しむのが大切であることを忘れないようにしてください。

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