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Column記事

2018.02.09

(記事紹介)帰宅中の事故と会社の責任

2018年2月8日 日本経済新聞「帰宅途中事故死 過労が原因 会社が7600万円支払いで和解」

商業施設への植物の飾り付けなどを手がけるX(東京)に勤務していたYさん(当時24)が帰宅途中に自損事故で亡くなったのは過重労働が原因だとして、両親が同社に計約1億円の損害賠償を求めた訴訟は8日、横浜地裁川崎支部で和解が成立した。遺族側の代理人弁護士によると、会社側は過重労働が事故原因と認めて遺族に謝罪し、約7600万円を支払う。出勤や帰宅中の事故で通勤災害以上の責任を会社側が認めるのは珍しい。
和解勧告によると、Yさんは大学卒業後の2013年10月、アルバイトとして働き始め、14年3月から正社員となった。徹夜勤務明けの4月24日午前、仕事先の横浜市都筑区からミニバイクで帰宅中、川崎市麻生区の県道で電柱に衝突し、死亡した。和解条件には会社が再発防止策に確実に取り組むことの確約も盛り込まれた。
事故当日の労働時間は、その前日の午前11時ごろから約22時間。事故前1カ月間の時間外労働時間は90時間以上、6カ月間の平均は63時間に及んだ。橋本裁判長は過労や睡眠不足が事故原因と判断し、同社の安全配慮義務違反などを指摘した。


長時間労働が原因で従業員が心身の問題をきたした場合、労災に加えて会社が安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負うことは皆さんもご存知かと思います。ただ、本件のような通勤中の事故については、会社側が通勤労災以上の法的責任を負うか否か明確な基準はありませんでした。今回の和解内容は、過労が交通事故の原因になっていると判断される場合には、(就業中ではない)通勤中の事故であっても会社が賠償責任を負う可能性があることを示唆している点で重要な判断といえるでしょう。
なお、本件のもう一つのポイントとして、残業時間が一般的に労災認定基準と言われる1ヶ月100時間超、6ヶ月平均で80時間超に達していない点も挙げられます。これは前日からの労働時間が20時間を超えていたという特別事情を考慮したものと思われます。最近の労働法改正では休養時間を確保するためのインターバル制度の導入などが検討されていますが、一時的であっても労働者に極端な負担をかけることは、会社にもリスクがあることを忘れないようにしてください。

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