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  • ストレスチェック 義務化
  • 2018.12.15

ストレスチェック施行3年間の雑感② 〜高ストレス者面接について〜

ストレスチェック制度3年目の雑感、第2回は高ストレス者面接の問題点についてです。高ストレス者はストレス得点が特に高い受検者のことで、全受検者の10%程度が一般的です。ストレスチェック制度では、実施者が高ストレス者に対して医師面接を勧奨することと、面接希望者に対して会社が責任を持って医師面接を実施することが義務付けられています。

高ストレス者面接の最大の問題点は、「医師面接の実施率が極端に少ないこと」です。高ストレス者であっても本人の申し出がなければ医師による面接は義務付けられておらず、プライバシー保護の観点から企業側には高ストレス者を把握する契機がありません。その結果、多くの企業では高ストレス者の数%程度しか面接が実施されておらず、残りは完全に放置されている状況が生まれています。

もちろんストレスは職場だけが原因とは限りませんし、一過性のストレスであり面接が不要なケースもあるでしょう。しかし「高ストレス者とバレるのが嫌だ」「会社から不利益取り扱いを受けるかもしれない」といった懸念から手を上げない従業員も少なからずいると思われます。このような状況は労働者本人の不利益だけでなく、職場環境改善の契機が失われる点からも大きな問題です。実際、産業医として高ストレス者面接に関わっていると、面接がきっかけになって職場のハラスメント問題が明らかになり、被害の拡大を防ぐことができた事例などを度々経験します。

医師面接の場面では企業の労務担当者にとって「聞きたくない話」も少なからず出てきますが、知らないまま放置することで状況が悪化し、長時間労働やハラスメント問題で法的責任が発生しないとも限りません。できるかぎり従業員の制度に対する不信感を払拭し、高ストレス者面接の実施率を高める努力が必要です。


もう一つ大きな問題点と感じることは、面接実施方法についてです。高ストレス者面接は、産業医が対面で実施することが推奨されており、対面が難しい場合はテレビ会議システムなどの使用も認められています。しかしその方法には様々な制限があり、地方の小事業場などの従業員に適用することが難しいケースが少なからずあります。その結果、例えば地方の事業場で高ストレス者面接が必要になった場合、会社の状況を理解していない外部の医師に対面面接を依頼するしかないケースをしばしば経験します。

しかし外部の医師は会社の状況を十分に知らないため、高ストレス者面接で最も重要である「どのような就業上の配慮が必要か」という点について適切な判断ができないことが稀ではありません。また労務担当者とのやりとりが書面のみになるケースが多く意思疎通が不十分になりがちな点や、地方に従業員のメンタルヘルスに精通している医師が少ない点も問題といえます。テレビ会議システムを用いた医師面接の条件緩和など、すべての従業員が適切な医師面接を受けられるような対策が必要と思われます。


実は、ストレスチェック制度は施行後5年程度で見直しが入ることになっています。その際にはパブリックコメント募集も予想されるので、従業員のメンタルヘルス不調予防や企業の生産性向上に本当に役立つストレスチェック制度とはどんなものか、皆さんも改善すべき点をいろいろ考えてみてください。

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