産業医事務所 セントラルメディカルサポート

  • アクセス
  • サイトマップ

お問い合わせ

Column 記事

  • 2019.04.23

人々の行動を変えるのは.1 (行動変容をもたらすものは)

どうしたら、人々の行動を「よりよい」ものに変えていけるか。今回のコラムでは、行動変容に関する最新の話題をお伝えします。「よりよい」行動は状況に応じて様々です。例えば、「毎朝寝坊して、朝食を食べずに会社や学校に向かう」生活から、「余裕をもって起きて、ゆったりと朝食を食べてから会社や学校に出発する」生活に変わったら、それは「よりよい」行動をとれるようになったと考えられるでしょう。あるいは、「子供が生まれたけれど、タバコがやめられない」、そんな生活から脱し禁煙を持続できることも、「よりよい」行動がとれるようになったといえるのではないかと思います。

それでは、どうしたら行動変容を起こすことができるのか。それを動機づけるものがわかれば、きっと、もっと簡単に「よりよい」行動を人々はとれるようになるのではないか。アメリカのJachimowicz (2018)は、電力コンサルト会社の行った200本近い研究をまとめて、この問題に解答を出しました。

「環境を意識した省エネ生活を送ってもらうような行動変容をもたらすにはどうしたらいいか」調べた本研究から、次のことが明らかになりました。すなわち、個々人が持つ考え・信念に直接働きかけても行動は変化しないが、各個人が属する共同体のメンバーが、特定の事案に対し(ここでは環境問題や省エネについて)どのように考えているかを知ると、行動変容がもたらされたというものです。
個人に環境保全の重要性を訴えることで、環境フレンドリーな考えになってもらうよりも、周囲の人が環境のことを考えて省エネ生活を送っているという事実(実際には事実でなくても構わないでしょう)を伝えたほうが、人々は省エネ生活に取り組むようになったのです。このような、「周囲がそうしている・そう考えているから」というような同調圧力を利用した行動変容の手法は、ネットワーク介入と呼ぶこともあります。「よりよい」行動が、行動の背景にある考えよりも、周囲がどう考えているかが強く影響するというこの結果について、みなさんはどう思われますか。
次回は、ネットワーク介入の効果がソーシャルネットワークの構造によってかわってくることを示した小学校での研究事例をご紹介します。

Jon M. Jachimowicz, Oliver P. Hauser, Julia D. O’Brien, et al. Letter :The critical role of second-order normative beliefs in predicting energy conservation. Nature Human Behaviour volume 2, pages757–764 (2018)

PAGE TOP