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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2014.12.03

腰痛対策

厚生労働省が5年毎に策定している、第12次労働災害防止計画(平成25年度〜29年度)では、重点項目の一つとして腰痛予防が取り上げられています。これは、この10年間、業務上疾病のうち腰痛が約6割を占めていることによるものです。

厚生労働省の調査では全国に2800万人の患者がおり、40〜60代の約4割が腰痛に悩んでいるといわれています。誰にとっても他人事ではない腰痛について、正確な知識を身につけましょう。


1.腰痛の原因
腰痛の原因は多種多様で、腰以外の病気が隠れていることもあります。主な原因疾患を以下に挙げます。

成長に伴うもの:側弯症や腰椎分離症
加齢に伴うもの:変形性腰椎症や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性すべり症、骨粗鬆症による圧迫骨折
腰以外に由来するもの:尿管結石、解離性大動脈瘤、子宮内膜症、悪性腫瘍など

一方で急性腰痛の8割以上は原因不明である、といった報告があり、詳しく検査をすれば原因が判明するとは限りません。また精神的ストレスが腰痛と強い関連を持つことが知られており、仕事の不満や人間関係トラブルがあると腰痛が発症しやすくなったり治りにくくなることが分かってきました。なので、あまり原因検索に執着せず、痛みやストレスを和らげ、再発を予防する生活習慣を目指すようにしましょう。


2.職場での腰痛と予防策
仕事との関連で起こりやすい腰痛は、俗に「ぎっくり腰」と呼ばれる、重い荷物などを持ったときに発症する急性腰痛症です。前屈みの姿勢になると椎間板に強い圧力がかかり、後方に脱出しやすくなります(これが椎間板ヘルニアです)。重い荷物を上げ下げすることはできるだけ避けるべきですが、必要な際はしっかり腰を落として腰を曲げずに持つようにしましょう。

またパソコン作業などで座っている状態も、実は起立時よりも背骨に負担がかかっていることが知られています。特に長時間背中を曲げたままにしておくと腰痛を起こしやすいので、定期的に歩く時間を作ったり、背筋の伸びた正しい姿勢を保つように努めましょう。

日常生活としては、定期的な運動をすることで、腹筋や背筋など腰を支える筋力の向上を通じて腰痛を予防できることが知られています。また精神的ストレスは腰痛の発症や経過に悪影響を与えるので、長時間労働を避けたり、ストレス発散のために趣味を楽しむ時間を作るようにしましょう。


3.腰痛の再発予防
腰痛には「絶対安静」が大切だと思っていませんか?確かに急性期(発症直後の痛みの強い時期)は安静にして痛みを抑える必要があります。しかしあまり安静を続けていると、筋肉が萎縮したり骨格がゆがむことで腰の支持性が低下し、更に腰痛を起こしやすくなる…という悪循環にはまってしまいます。

ある程度痛みが落ち着いてきたら、できるだけ早く発症前の生活に戻すようにしましょう。また運動や体操を積極的に行うことも効果的です。ランニングやテニス、ゴルフなどよりもウォーキングや水泳など、腰に負担がかからないスポーツがお勧めです。


4.腰痛の治療
原因となる内科的疾患などがあれば、その治療を優先します。

腰が原因の場合は、多くの場合時間経過で軽快するので、それまで消炎鎮痛剤の内服や座薬、神経ブロックなどで痛みを和らげます。

慢性的な痛みが残った場合には腰痛ベルトの着用や牽引療法が行われることもありますが、効果ははっきりしません。これらでよくならない場合には手術が必要になることもあります。最近は内視鏡やレーザーを使った低侵襲手術の割合が増えています。

なお、鍼灸やマッサージ、温熱療法などの治療を受ける人もいますが、これらが腰痛対策に有用であるかはっきりしたデータはありません。


5.おわりに
一度腰痛を発症した方の再発率は通常人の約5倍と言われています。腰痛になったことがない人は発症を防ぐこと、腰痛の既往のある人は再発を防ぐことが非常に重要です。腰痛予防対策を職場全体で共有し、腰痛ゼロの職場作りを目指しましょう!

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