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  • 2015.04.02

パワハラとメンタルヘルス(裁判例紹介)

2015年4月2日 読売新聞「パワハラ自殺和解金6千万円支払い」

大手住宅建設会社の社員だった長男が自殺したのは上司のパワーハラスメントが原因だとして、両親が同社に慰謝料など約9280万円の損害賠償を求めた訴訟が大阪地裁であり、同社が和解金6000万円を支払う条件で和解したことがわかった。

訴状などによると、長男は2010年8月以降、兵庫県西宮市内の事務所で客からの苦情対応などを担当。上司から、部下の指導が不十分との理由で「死んでしまえ」「クビにするぞ」などと日常的に罵倒されるようになった。11年9月1日に行方不明となり、6日後、〇〇で溺死しているのが見つかった。


ハラスメントとは、いわゆる「嫌がらせ・いじめ」のことで、特に職場で問題になりやすい類型としてセクシャルハラスメント(セクハラ)とパワーハラスメント(パワハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)などがあります。

パワーハラスメントは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係等の職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義され、以下のような行為がそれに当てはまります(2014年9月26日弊社コラム再掲)。

・ 人前で「お前は駄目だ」など相手の人格を否定する発言をする
・ 無視や仲間はずれをする
・ 過大な仕事を命じる、あるいは合理性なく仕事を与えない
・ 私的なことに過度に立ち入る

今回の事例では、「死んでしまえ」「クビにするぞ」といった言動が「人格を否定する発言」と裁判所に判断されたと考えられます。

パワハラの概念は時代によって大きく変遷してきました。以前であれば「教育的な指導」の範囲と考えられてきた言動でもハラスメントと判断される場合が多くなり、本件以外にも会社に高額な賠償責任が課せられる事例が増加しています。一方、昨年11月にはパワハラを看過したことを理由に社長の個人賠償責任が認められた裁判例が出ましたが、問題が発生した場合に個人責任を負う範囲も徐々に広がってきている印象を受けます。

ハラスメントは被害者が傷つくだけではなく、職場環境や企業の評判にも重大な悪影響を及ぼします。対策に近道はありませんが、以下の点に注意して加害者や傍観者にならないよう気を付けて下さい。

①会社としてハラスメントを許容しないことを周知徹底する
②どのような行為がハラスメントに当たるか啓発活動を行う
③問題が大きくなる前にサポートできるよう、風通しの良い職場環境を作る
④ハラスメント行為を黙認しない
⑤気軽に相談できる窓口を設置する
⑥相談者や行為者のプライバシーを保護する
⑦注意しても改善がない行為者に対しては厳正な処分を検討する

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