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  • 2015.12.18

(記事紹介)協定上限超える残業 会社と前社長を書類送検

2015年12月17日 毎日新聞「上限超える残業 会社と前社長を書類送検」

○○の××の工場で働いていた男性課長(当時40歳)が昨年7月、長時間労働を苦に自殺していたことが分かった。○○労働基準監督署は17日、この課長ら2人に労使協定で定めた上限時間を超える残業をさせたなどとして、同社と前社長を労働基準法違反(時間外労働)容疑で書類送検した。
…勤務の男性課長に対しては昨年5〜7月、最長で1日に5時間半、1週間に37時間半の違法な残業をさせたとしている。上限時間は1カ月間で80時間と定められていたが、残業時間は最長で132時間に上ったという。労基署は今年7月、自殺は労働災害と認定した。調べに××側は「課長は管理職で法規制外」などと容疑を一部否認。これに対し、労基署は「課長だった男性は自分の労働時間を決定する裁量と権限を持っていたとは言えない」としている。


長時間労働を行っていた従業員に健康問題が生じた場合、労災認定される事例は珍しくありません。大まかに言えば、慢性的に月80時間以上または単月で100時間以上の法定時間外残業が存在し、その後半年以内に健康問題が生じた場合、労災認定の可能性が高くなります。自殺についても「本人の意思で行った」とは考えず、「長時間労働が原因で精神的に追い詰められたことで行った」と認定されることが増えています。よってこの事案で労災認定されるのはおかしな話ではありませんが、大きなポイントとなるのは三六協定違反の有無と書類送検の是非です。

管理職(管理監督者)は三六協定の適応除外になるので、仮に今回亡くなった従業員が管理職であれば(労災認定は当然としても)三六協定違反にはならず、労働基準法違反で会社や前社長が書類送検される自体にもならなかったと思われます。この点、裁判所は管理職か否かを実態に即して判断することに注意してください。仮に「課長」などの肩書きがあっても、自分の労働時間を自律的に決定する裁量権が与えられていなければ、本件のように管理職性が否定される場合があります。

また、以前もコラムで紹介しましたが、労働基準法違反で経営層が書類送検される事案が最近急増している点にも注意が必要です。以前は労災認定と労基署による是正勧告で済んでいたケースであっても、今後は取締役が逮捕される可能性すらありえます。長時間労働の対策は、「健康障害が発生する前に労働時間を削減する」のが大原則です。まずは正確な残業時間の把握から始め、労災事故防止に努めるようにしてください。

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