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  • 2015.06.17

(記事紹介)労働時間規制について

日本経済新聞2014年6月17日速報「労働時間規制の緩和、制度設計を議論 厚労省審議会」

厚生労働省は16日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の労働条件分科会を開き、高収入の専門職に限って労働時間規制を外すホワイトカラー・エグゼンプションの制度設計に着手した。
経団連代表の委員は16日の議論で「年収が少なくとも1000万円以上の専門職は労働時間規制を外す制度を設ける」とする政府方針に支持を表明。ただ対象者の職種は、厚労省が例示している金融ディーラーやコンサルタントに限らず、技術職、プロジェクトリーダー、調査担当者など幅広く認めるよう求めた。
一方、労働側委員の連合は「過重労働の防止が進まないなかで、なぜ労働時間規制を外すのか。残業代ゼロではなく、過労死ゼロを目指すべきだ」と反対した。
厚労省は2015年の初めまで議論し、来年の通常国会に労働基準法の改正案を出す。


労働時間規制の緩和をめぐる議論が進んでいますが、労働者の健康を守る産業医の立場から、どのような制度になるか強い興味を持っています。
一般的に、残業時間(法定外労働時間)が45時間/月を超えると、仕事の負荷が心身に悪影響を及ぼし始めます。さらに100時間/月を超えると、心筋梗塞や脳卒中といった脳血管障害のリスクが2-3倍になると報告されています。うつ病をはじめとする心身の不調とも関連が指摘されており、過大な残業は健康管理の観点から当然減らしていかなくてはなりません。

ではホワイトカラー・エグゼンプションは、残業時間や過労死にどのような影響を与えるのでしょうか?
「労働時間が多い労働者に残業代を支払う」という現行の制度は、会社に経済的負担を課すことで残業を減らすインセンティブを与える反面、労働者に対しては残業を増やす経済的インセンティブを与えるものといえます。
よって、ある程度自分の仕事をコントロールできる専門職を対象としてホワイトカラー・エグゼンプション制度を作ることは、むしろ長時間残業や過労死の減少につながる可能性もありそうです。
一方で、会社がただ働きで残業を強要するような事態が出現すれば、労働側委員が指摘するように過重労働の問題が悪化してしまうことも懸念されます。

このように、ホワイトカラー・エグゼンプションの良し悪しは、過重労働対策を組み込んだ適切な制度設計ができるか否かにかかってくると考えられます。
今後も審議会の議論を注視したいと思います。

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