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  • 2016.05.06

(記事紹介)海外勤務と労災適用

2016年4月27日 日経新聞「海外勤務に労災適用 東京高裁、遺族が逆転勝訴」

海外勤務中の死亡に労災保険が適用されるかどうかが争われた訴訟で、東京高裁(杉原則彦裁判長)は27日、保険を適用できないとした一審・東京地裁判決を取り消し、遺族補償の支給を認めた。赴任先の中国・上海で死亡した男性(当時45)の妻が逆転勝訴した。一般的に、海外出張中の死亡は労災保険が適用される。ただ、海外の事業拠点に転勤・所属すると、国内事業者の労働者とみなされなくなる。補償を受けるには、海外での労災も保険の対象とする「特別加入」の手続きを取る必要がある。


本件は海外での就労中に事故が発生した際の労災認定の可否が問題となった事例です。海外出張中であれば国内の事業場に所属しているため労災の対象になりますし、海外赴任で国外の事業場に所属している場合も、特別加入手続きをしていれば労災の保障対象となります。しかし「海外の事業場に所属+特別加入していない」ケースではいずれにも当てはまらないため、原則として労災は認められないと判断されてきました。

しかし本判決では、労災保険の適用について「仕事の内容や国内拠点からの指揮命令などを総合的に判断すべき」と判断基準を明確にした上で、東京本社に本件従業員の業務決定権があったことや出勤簿を本社に出していたことから「男性は実質的には国内の事業所に所属していた」と判断して労基署の処分(不支給決定)を取り消しました。

この判決は海外勤務と労災の問題を考える上で重要なケースですが、一つ注意すべき点があります。それは労災適用の理由付けとして「指揮命令権や業務決定権が国内事業場にあったこと」を挙げていることです。仮に本件従業員の業務内容が海外事業場内で決定されていたとすれば、労災が認められなかった可能性もあります。そのようなトラブルを防ぐためにも、従業員を海外事業場に赴任させる際には特別加入手続きを忘れないようにしましょう!

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