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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2017.04.25

グリーフケアについて

身近な人が亡くなった際に非常に強い喪失感を感じることは当然の心の動きです。多くの場合は時間が解決してくれますが、時には立ち直ることができずメンタルヘルス不調につながってしまうこともあります。
メンタルヘルス不調を防ぐために、悲しみにくれている人をサポートして立ち直りを促す活動をグリーフケアと呼びます。家族を亡くしたようなブライベートなケースで会社がどこまでケアするか微妙な問題もありますが、今回は社内での喪失事例への対応を考えたいと思います。

例えば以下のような事例で、会社はどのようなサポートを行うべきでしょうか?

・高所作業中に同僚が転落死した。
・連絡がつかない部下を心配して自宅に行ったところ自殺しているのを発見した。
・一緒に出張した上司がホテルから出てこないので確認したところ心筋梗塞で亡くなっていた。
・大地震で同僚を亡くした。

従業員が亡くなった場合は、まず本人や遺族への対応が第一であるのは間違いありません。
周囲の人もイベント直後は喪失感を感じる余裕もないため、意外と当初は体調不良を自覚しないものです。
しかし体調に問題なく就労していた社員が、徐々に喪失感を感じるようになり抑うつ的になっていく。。というのがよくある経過であり油断してはいけません。

体調(特にメンタル)の問題はなかなか自己申告しにくいことも多いため、少し落ち着いたタイミングで会社側から関係者(上司、部下、同僚など)に対して体調の聞き取り調査を行いましょう。
だいたい1−2週間後が一つの目安だと思います。
その際にはできるだけ話しやすい環境を準備した上で「〇〇さんが亡くなったことで深い悲しみを感じたのではないかと思います。それは当然のことですが、体調にまで悪影響をきたしていることはないですか?睡眠や食事もしっかり取れていますか?」といった質問をしてみてください。
事実確認のみならず、辛い心情を共感して寄り添いながら話を聞いてくれる人がいるだけでも気分が楽になることは少なくないため、「支持的傾聴」がブリーフケアの最重要ポイントです。

そこで何らかの体調不良の訴えを認めた場合には次のステップに移ります。
比較的軽いケースでは定期的に面接の機会を作り、徐々にでも体調が回復していくか経過をみてください。
一方で数週間しても改善がなかったり、「不眠や食欲不振が続く」「涙が止まらない」「仕事に来るのが辛い」といった抑うつ症状を疑わせる訴えがあった場合には、早めに専門家に繋ぐ必要があります。
緊急時にも対応できるよう、社内の産業医やメンタルヘルスの医療機関など普段から複数の相談先を持っておくことが大切です。
その後は専門家のアドバイスに応じて、一時的な就労制限など適切な対応を取るようにしましょう。

なお社内のグリーフケアは上司、人事、産業衛生スタッフなどが行うケースが多いですが、ケアを行う人自身も精神的に辛くなってしまうことがあります。二次的、三次的な問題が生じないよう、ケアをする人の体調管理にも注意してください。

最後に、就労に関連して体調不良が生じた場合には原因が何であれ労災問題になり得ます。従業員の生死に関わるような問題が生じた場合は他の対応がおざなりになりがちですが、コンプライアンスの観点からもグリーフケアを忘れないようにしてください。

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