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Column記事

2017.08.23

(記事紹介)寝室明るいと「うつ」のリスク リズム乱れ心の不調に?

2017年8月21日 朝日新聞「寝室明るいと「うつ」のリスク リズム乱れ心の不調に?」

夜眠るときに部屋が明るいと、うつの症状につながりやすくなるとする調査結果を、奈良県立医科大の研究チームがまとめた。明るいことで眠りの質が落ちて体のリズムが乱れるなどして、心の不調につながっているらしい。世界的にも珍しい調査で、結果は米国の疫学専門誌電子版で速報された。
奈良県明日香村や香芝市などに住む60歳以上の男女863人の協力を得て、2010年から14年にかけて寝室にセンサーを設置。寝床に入ってから出るまでの明るさを計測した。健康などに関する質問にもこたえてもらい、その後の経過を2年間ほど追った。
期間中、寝室が「暗め」(平均0.4ルクス)だった710人のうち52人、「明るめ」(同12.4ルクス)だった153人のうち21人が、新たにうつ症状を発症した。年齢や性別、世帯収入などが影響しないよう調整して分析すると、「明るめ」の人たちは「暗め」の人たちの約1.9倍、うつ症状を起こしやすかった。


うつ病と睡眠に密接な関係があることは以前から知られており、うつ病発症前に過半数の患者が不眠症状を訴えると言われています。その医学的理由は十分明らかになっていませんが、睡眠不足や睡眠リズムの乱れが脳の疲労回復を妨げ、抑うつ症状につながるのではないかと考えられています。本研究により、環境の明るさも睡眠の質に影響を与えることが示唆されました。

また他の研究では、長時間労働による健康被害にも睡眠不足が関与していることが報告されています。最近はベッドで寝ながらスマートフォンやタブレットの動画などを楽しむ人が増えていますが、就寝前に強い光を浴びることは脳を活性化させ、不眠症状を悪化させることにつながります。メンタルヘルス不調の予防には良質かつ十分な睡眠が不可欠であることを再認識してください。

なお、本研究結果と直接関係はありませんが、「寝室が暗めだった場合にも2年間で約7%の人が抑うつ症状を発症した」点も興味深いところです。日本におけるうつ病(大うつ病性障害)の生涯有病率は6-7%程度とされていますが、病気になっても医療機関に行かない人が多いため、正確な有病率は分かっていません。「隠れうつ病」も含めると生涯有病率は前述の数字より跳ね上がると言われていますが、今回の結果もそれを示唆するものかもしれません。

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