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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2018.07.07

(記事紹介)精神疾患による労災件数について

2018年7月6日 日本経済新聞「心の病で労災、17年度506人で最多に 半数が30代以下」

厚生労働省が6日発表した2017年度の労災補償状況によると、仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、労災認定を受けたのは16年度比8人増の506人で、1983年度の統計開始以降、過去最多を更新した。500人超は初めて。うち自殺、自殺未遂が同14人増の98人。約半数が30代以下で、約3割の1カ月平均残業時間が100時間以上だった。


2017年度の精神疾患に関する労災補償状況のデータが公表されました。発症原因や業種について詳細な数字が並んでいますが、特に重要なポイントは以下の3点です。

1.労災認定件数は右肩上がりで増えている

2008年の労災認定件数は268件であり、ここ10年で1.8倍に増加しています(1990年代までは年間100件未満)。ここ数年、脳心臓血管障害(脳卒中や心筋梗塞など)による労災件数は250-300件程度でほぼ横ばいであるのに対し、急速に増加していることが見て取れます。うつ病を含めた精神疾患の認知度が高まったことや、長時間労働やハラスメントと精神疾患発症の関連が明らかになってきたことが影響していると思われますが、今後も増加傾向は続くことが予想されます。

2.若手の割合が高い

精神労災は若手に多いのも特徴です。これは「残業が多くなりやすい」「上司からハラスメントを受けやすい立場にいる」「中高年に比べて精神疾患を隠すことが少ない」など、様々な複合的要因が関与していると考えられます。最近はSNSなどで情報が広がることが多く、「若者を使い捨てるブラック企業」などの風評がたてば新人採用もままならなくなり、さらに若手に負担がかかる、といった悪循環にも陥りかねません。会社全体で若手を守る意識づけが大切です。

3.長時間残業をしている比率が高い

月100時間以上の残業が認定されたケースは3割程度ですが、80時間超の残業が認定された事例や、正確な残業時間が分からないものの長時間労働が疑われる事例なども含めれば、労災事例の多くに長時間残業が関わっている可能性が高いと思われます。今後働き方改革法の施行により残業規制が厳しくなれば、より短い残業時間でも労災認定が認められやすくなることも予想されます。

いかがでしょうか?こういったデータを企業内、特に経営層と共有することで、会社全体で労働状況の改善に取り組むきっかけにすることが大切です。

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