近年、いわゆる「低炭水化物(糖質制限食)ダイエット」が流行しています。具体的な方法は様々ですが、「ご飯やパンなど炭水化物の多い主食を極端に減らす一方、肉や魚は制限しない」といったイメージが一般的かと思います。もともと炭水化物は摂取総カロリーの50-60%を占めているため、これを減らすことが減量につながるのは事実であり、短期的なダイエットに効果が高いことも報告されています。一方で、糖質制限食が長期的な健康改善にどのような影響を及ぼすかについては議論がありました。
これに関連し、2018年8月、ハーバード大学のグループがLANCETという一流雑誌に、米国の約1万5000人を平均25年間追跡調査したARIC(4地域動脈硬化リスク研究)や、日本国内で10年間追跡調査したNIPPON DATA80など8つの疫学調査を総合したメタアナリシスを報告しました。
詳細な結果は割愛しますが、本研究では糖質摂取量と死亡率との関係が、U字カーブを描くことが明らかになりました。つまり、総カロリーのうち糖質割合が40%以下の糖質制限群や、70%以上の過剰糖質摂取群は死亡率が高く、逆に死亡率がもっとも低かったのは糖質摂取率が50-55%の群であることが分かりました。その理由は十分明らかではありませんが、糖質制限食により動物性食品の摂取が増える一方で、野菜や果物、全粒穀物が減ることが一因ではないかと考えられています。
結局のところ、健康にダイエットするためには「三大エネルギー(炭水化物、タンパク質、脂質)をバランスよく食べながら、総エネルギー量を減らしつつ運動も取り入れる」という当たり前の工夫が一番だ、ということです。怪しい健康情報に惑わされず、適切な生活習慣を身につけるようにしてください。
Column記事
2018.10.01
糖質制限食と健康について
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