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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2014.10.06

お酒との付き合い方

今回は飲酒と健康についてのお話です。お酒の歴史は非常に古く、有史以前からアルコールは食事に欠かせない存在でした。人間関係を円滑にしたりリラックス効果が得られるなど、アルコールには優れた効能が少なくありません。一方で過度な飲酒は様々な健康問題や社会問題の原因になります。正確な知識を身につけ、お酒と正しく付き合いましょう!


1.アルコールと健康被害
世界保健機関(WHO)の調査によると、アルコールの過剰摂取により毎年230万人が亡くなっています。日本でも、年間約3万5千人(全死亡の3.1%)がアルコールが原因で亡くなっていると推計されています。これは交通事故や自殺による死亡者よりも多い数字です。

*アルコール過剰摂取によって引き起こされる病気
(1)肝炎、肝硬変、肝臓癌
アルコールは肝臓で分解されるため、肝臓は過度の飲酒で最も障害を受けやすい臓器です。脂肪肝→肝炎→肝硬変・肝臓癌と進行し、最終的には肝不全や肝臓癌で死亡します。ひどくなるまで自覚症状はほとんどないので、定期的に血液検査(AST, ALT, γGTPなど)で確認する必要があります。

(2)飲酒関連がん
口腔がん、咽頭癌、喉頭がん、食道がん、肝臓がん、大腸がん、乳がん等の悪性腫瘍(がん)については、飲酒と発がんの関連が指摘されています。毎日日本酒1合程度の飲酒でも、これらのがんの発症及び死亡リスクが約2.3倍と高くなることが知られています。なお、糖尿病患者や喫煙者は更に発症リスクが高くなるので注意が必要です。

(3)その他の問題
多量の飲酒は胃腸障害、膵炎、生活習慣病(高血圧や脂質代謝異常、糖尿病、痛風など)、認知症などのリスクになることも知られています。


2.推奨される飲酒量
1日平均でアルコール摂取量が男性で40g、女性で20gを超えると、健康上のリスクが特に高まってくることが知られています。アルコールの分解速度には個人差が大きいので、推奨される飲酒量は男性で1日20g以内、女性で10g以内とされています。具体的に言うと、ビールならジョッキ1杯、日本酒なら1合弱がアルコール20gに相当します。


3.未成年や妊婦の飲酒
未成年者や妊婦の飲酒は、一般成人の飲酒とは違った問題があり、絶対に飲酒したりお酒を勧めたりしてはいけません。
未成年者の飲酒は法律で禁止されていますが、これは飲酒期間が長期に渡り健康障害が起こりやすくなること、事故リスクが極めて高いこと、将来依存症になりやすいことなどが理由です。本人だけではなく親や監督者が飲酒を止めなかった場合にも刑事罰(未成年者飲酒禁止法違反)が科されます。
妊娠中の女性の飲酒は胎児に悪影響を及し、顔面奇形や発達障害を特徴とする胎児性アルコール症候群(FAS)の原因となります。FASは非遺伝性の精神発達遅滞の最大の原因です。


4.アルコール依存症について
アルコールは強い習慣性、依存性のある薬物です。長期間の飲酒を続けた場合、仕事や家庭を犠牲にしてもお酒が止められなくなってしまうことがあり、このような病態をアルコール依存症といいます。いったん依存症になってしまうと、治療は断酒しかありません。お酒が好きな人は「新久里浜アルコール依存症スクリーニングテスト」などのネットでも簡単にできるセルフチェックを行い、点数が高い場合は専門医療機関に相談してみて下さい。


5.健康を守るための12の飲酒ルール
お酒は人生の潤滑油になる一方、健康問題や社会問題の原因にもなります。厚生労働省の研究班が「健康的にお酒を楽しむための12のルール」を提案していますので、これを参考にして自分や家族の飲酒習慣をもう一度振り返ってみて下さい。

1.飲酒は1日平均2単位(20グラム)以下
2.女性・高齢者は少なめに
3.赤くなりやすい体質の人も少なめに
4.たまに飲んでも大酒しない
5.食事と一緒にゆっくりと
6.寝酒は極力控えよう
7.週に2日は休肝日
8.薬の治療中はノーアルコール
9.入浴・運動・仕事前はノーアルコール
10.妊娠・授乳中はノーアルコール
11.依存症者は生涯断酒
12.定期的に健診を

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