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  • 2015.02.05

長時間労働と労災認定(裁判例紹介)

2015年2月4日 日本経済新聞「心不全で死亡「労災」○○社員巡り大阪地裁判決」

○○の社員だった男性(当時33)が虚血性心不全で死亡したのは過労が原因だとして、男性の両親が、遺族補償給付の不支給処分の取り消しを求めた訴訟の判決が大阪地裁で4日あった。中垣内健治裁判長は、労災に当たると判断し、不支給とした池袋労働基準監督署の処分の取り消しを命じた。男性について池袋労基署は、死亡するまでの6カ月間の時間外労働が1カ月当たり80時間を超えるなどの認定の目安に当てはまらないとして、不支給としていた。判決理由で中垣内裁判長は男性の同期間の1カ月当たり時間外労働を「62時間49分」と認定したうえで、厚生労働省検討会の報告書が「45時間を超えて長くなるほど業務と発症との関連性が徐々に強まる」と指摘していることから「業務と発症との関連性は相当程度存在する」と述べた。さらに「発症10カ月前ごろからも月45時間を超える時間外労働に従事し、蓄積した疲労を解消できず、自然経過を超えて疾病が悪化した」と判断し、労災に当たると結論付けた。判決によると、男性は1999年1月に○○に入社し、子会社などで営業やクレーム対応を担当。2010年2月早朝に虚血性心不全で死亡した。


長時間労働が心身のストレスを増加させ、虚血性心疾患やくも膜下出血、メンタル不調などを増加させることはよく知られています。法定外の残業が月平均で45時間を超えてくると徐々にリスクが増加するとされていますが、労災認定にあたっては「単月で月100時間以上」または「数ヶ月にわたって80時間以上の残業が続いている」という基準が通常用いられてきました。

今回の地裁判決は、「62時間49分」という比較的短い残業時間であるにも関わらず労災認定を認めた点で、過去の裁判例よりも長時間労働に対して厳しい判断をしています。判断にあたっては、クレーム処理などストレス負荷が高い仕事を行っていたことが考慮されたのかもしれません。

あくまで地裁レベルの判断なので、今後高等裁判所、最高裁判所でどのような判断がなされるか分かりませんが、労働時間管理の重要性が年々増していることは疑いようのない事実です。まずは従業員の残業時間を正確に把握することから始め、残業時間が慢性的に45時間を超えている従業員については、個別に残業削減への話し合いを進めていくよう心がけましょう。

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